
インプレスグループで山岳・自然分野のメディア事業を手掛ける株式会社山と溪谷社は、谷山宏典著『ドキュメント豪雨災害 西日本豪雨の被災地を訪ねて』を刊行した。
人はなぜ逃げ遅れてしまうのか?
全国で一日に200ミリ以上の激しい雨が降る日数は、この40年間で1.5倍に増えている。
同時に、これまでの観測記録を大幅に上回る豪雨による災害や被害も増えつつある。
なかでも、昨年7月に発生した西日本豪雨では、死者・行方不明者245人、全半壊した住宅は2万棟に迫り、床上浸水は7,173棟、床下浸水は2万棟以上という水害としては近年で最大規模の被害が発生した。
堤防の決壊や土砂災害なども発生するなか、助かった命と、失われた命を明瞭に分けたのは、避難勧告・指示が出された後の行動にあったと言われている。
たとえば広島県では、最大で236万人に避難勧告・指示が出されたが、避難所への避難が確認されたのはわずか1.7万人(0.8%)にとどまった。
それでは、人はなぜ逃げ遅れてしまうのだろうか? そして、どうすれば命が助かったのか。その答えを探り、現地取材を重ね、専門家の意見とともにまとめたのが同書である。
明暗を分けた行動や準備、被災後の活動についても紙面で再現
同書で伝えていること
・避難訓練は役に立つのか?
・正常性バイアスや同調性バイアスといった人間の行動心理
・インフラへの過信
・情報だけでは人は動かない
・自主防災組織は有効か
などの切り口で鋭く豪雨災害とその避難の実態に迫っている。また、明暗を分けた行動や準備、被災後の活動についても紙面で再現した。 (慶尾六郎)